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野生動物の数

10月21日(金)は社団法人大阪自然環境保全協会・ナチュラリスト入門講座の公開講座の「ワイルドライフ・マネジメント・野生動物保護管理最前線」(講師:中村幸子さん:兵庫県立大/森林動物研究センター)へ行ってきました。
 
野生動物の「保護管理」というと、保護一辺倒ではなく適切な数(絶滅の心配が無く、農林業被害は充分我慢できる範囲)に納め、人間と野生動物が棲み分け共存できるようにしようというもの。

兵庫県のシカの例では、しばらく年3万頭以上捕獲して頭数を減らし、その後はシミュレーションで微増程度に抑えられるという年2万頭の捕獲という計画。
(シカは増えすぎて農林被害、植生の劣化、土砂の流出などが大きな問題になっています。)
現在、シカの数は糞隗調査や目撃頭数など複数の指標で推測しているそうです。
で、これくらいの頭数ならOKという目安は「猟師さんが1回猟に山へ入って目撃するシカの頭数」が「1」というもの。

さて、ここからが本題。

一般の人たち(ここでは今期の初めての受講生さん?)の感覚では、単位面積当たりのシカの生息密度の目安(たとえば1haあたりの頭数)は?
また、糞隗や目撃頭数での推測頭数にたいして、実証はなされているのか?
(おそらく、「実際にすべての頭数を数えて確認したのか?」という意味)
と、「真の頭数」へのこだわりのようなものが感じられました。

講師から推測数の確からしさはこの範囲で何パーセント程度という説明に対して、なかなか納得ができない様子。

スタッフのH川さんから、野生動物をすべて数えることはできない。という補足があってその場は収まりましたが、受講生さんはほんとにわかってくれたのかなぁ?

ここまでの話、どのように感じられたでしょうか?

現代の人間(日本)の社会では、かなりきっちりした数値・データで話を進めることが多いような気がします。
少なくとも、きっちりした「ような気にさせられる」数値で。

また、「はやぶさ」が「イトカワ」まで行ってサンプルを持ち帰ることができる現代では動物の数くらい正確に調べられている、または調べることができて当たり前。 という漠然とした印象に捕らわれているのではないでしょうか。

しかし、野生動物については、シカはもちろん、クマもネズミも正確な頭数はわかっていないし、今のところ漏らさず数えることは不可能。
考えてみれば、家の中でゴキブリを1匹見かけたらその何十倍いる、なんて話を聞きますが、自分の家の中でさえすべてのゴキブリの数を漏らさず数えることは不可能。
そう思えば、野山の野生動物の真の頭数を数え上げることはどう考えても無理。

そこで、研究者は違う物差しで現実的に対処しようとしているわけです。
(実際には複数の物差しを組み合わせて使っているとのこと。)
その物差しのひとつが、「猟師さんが1回猟に山へ入って目撃するシカの頭数」。
いろいろな調査の積み上げで、この数値が「1」であればバランスが取れるようだ。ということがわかってきたそうです。
話にも出ていましたが、猟師さんの高齢化や技量の差、植物の茂り具合、地形の違い等々で「猟師さんが1回猟に山へ入って目撃するシカの頭数」は実際にそこにいるシカの頭数に対してどの程度の割合なのかは違ってくるはずですが、大雑把にこれくらいの数値ならバランスが取れているようだということが分かってきているということなのです。

真の数値が分からないシカの実際の頭数の代わりに、「猟師さんが1回猟に山へ入って目撃するシカの頭数」の大小で判断するれば現実的に対処できるようなので、この数値を物差しに使って話をしましょうということ。

ここを理解しておかないと前述の受講生さんのようになんだかすっきりしない気がするのではないかと思います。
(これは私の個人的な推測で、ご本人の本当の思いはどのようなものだったのかは分かりません。)

実は、「本当のところは良く分からないけれど、仮にこの方法で調べた数値を使って考えると実際の現象をうまく説明できて役に立つ。」というのは、工学の世界でも似たような例があります。
工学って、数値計算でカッチリしているように見えますが、例えば電気磁気学は正式には電気磁気現象論と言って、現象を調べて数式を当てはめたらうまく説明できるから、それを応用するという学問。でも、電気や磁気の本質は量子力学でもわからないことがある。(これは私が学生時代に電気磁気学の教授から教えてもらった話。)
航空力学だって、飛行機の翼の揚力が発生する仕組みは仮定で説明されているけれど本当のところを突き詰めるとわからないところがあるらしい。(これは本で読んだ。)
というわけで、今わかっていることを利用して現実に対処しようという考え方の切り替えが必要なのでした。
でも、真実を知りたいという欲求は自然なことだし、その気持ちは大切だと思います。

ちょっと話は飛びますが、九州の祖母山系でクマの目撃情報(10月21日産経ニュース)。
九州ではクマは絶滅したということになっていたのですが、懐深い自然を人間がすべて知り尽くすことはまだまだできません。
ニホンオオカミも祖母山系には生き残っているかもしれないという説もあります。
興味がある方は西村智著「日本オオカミは生きている」を読んでください。
西村さんはこの本の中で祖母山系のクマについても触れています。

そうそう、講師の中村さんのお話。
とても分かりやすい説明でした。ちょっと無理しても行ってよかった。
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プロフィール

オフィス・ニシキ

Author:オフィス・ニシキ
大阪府在住
個人事業者
ブログもホームページも初心者です。
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プロジェクトワイルド・エデュケーター
2級カラーコーディネーター
危険物取扱者(乙種全類)
狩猟免許(わな猟)
第二種電気工事士
野崎・飯盛の山と緑を保全する会:会員
公益社団法人大阪自然環境保全協会:会員(NOB27)

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